一級小型船舶操縦士免許を取りました! マンモスうれぴーです。
※以降の説明において、基本的に特殊(水上オートバイ)は私は分からないため対象外としています。
何のために免許を取ったのか
人それぞれだと思いますが、私は船釣りのためです。マリーナでレンタルします(1回数万円程度。数名で借りれば1名数千円程度です)。
すでに仲間が何人か免許を持っているので、そろそろ私も取ろうかな~と思いました。
いっしょに講習を受けた人は、船に乗って写真を撮るんだと言ってました。船を買いたいという人もいました。
小型船舶操縦士免許とは?
国交省のページ(https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_mn10_000006.html)で詳しく説明されていますが、すごくざっくりまとめると下記の通りです。
免許の種類 | 乗れる船 | 主な制限 |
---|---|---|
一級 | 総トン数20トン未満、かつ、長さが24メートル未満のボート・ヨット | |
二級 | 海岸から5海里(約9キロ)まで | |
特殊 | 水上オートバイ |
一級は二級の上位互換になっています。二級の5海里というのがピンと来ないかもしれませんが、だいたい海岸から見える海の地平線ぐらいです。ので、意外と遠くまで行けます。
24メートル未満のボートがどれぐらいの大きさか分かりづらいかも知れませんが、学校で水泳の時間に見た25メートルプールを思い出して下さい。かなりデカいです。
免許を取る方法(国家試験について)
下記3つの国家試験を受けて合格する必要があります。
ヤマハのホームページ(https://www.yamaha-motor.co.jp/marine/license/system/)が分かりやすいです。
1. 身体検査
- 視力:0.5以上(矯正可)
- 色覚:赤、緑、白の灯火を見分けられること(試験のイメージ)。それが不合格の場合、赤・緑・黄色のカードを見分ける試験を受け(試験のイメージ)、そちらに合格すると時間帯が限定された免許が取得できます。そちらも不合格だと学科試験と実技試験に進めないので免許を取得できません。
- 聴力:5メートル以上の距離で普通の大きさの声が聞こえること。
- 疾病および身体機能の障害:軽症で勤務に支障をきたさないと認められること。
2. 学科試験
- 2級:50問 (70分)
- 1級:2級と同じ50問+1級の14問 (140分)
合格基準の得点は、合計点65%以上かつ試験内各カテゴリが全て50%以上。
1級については、2級の部分だけ合格基準を満たしていたとしても、1級の部分が不合格だと、学科全体が不合格となりますので、再受験の際にはもう一度2級の部分も解く必要があります。
3. 実技試験
実際に船を操縦します。70%以上の得点で合格。
船と試験内容は1級と2級で全く同じです。全長約5mのモーターボートを操縦します。
実技試験の受験方法は下記の2パターンがあります。
- 国家試験を受ける
- 実技登録教習後に修了審査を受ける(こちらは一般的には「国家試験免除」と表現されます)
Aは試験のみを受けます。事前に実技登録教習(先生1 : 生徒複数)を受けていたパターンが当てはまると思います。
Bは、実技登録教習で船の操縦等を先生とのマンツーマンで教えてもらってその場で練習し、練習後のその日の内に、教えてもらったことができるかどうかを審査されます。修了審査の内容や合格基準は国家試験と同等ですので、国家試験に比べて楽とか緩いということは全く無いです。
ステップアップ(2級→1級)について
2級免許を持っていると、1級へのステップアップをすることができます。
私見ですが、将来的に1級を取ろうかな? と少しでも思っているなら、最初から1級を受けた方が良いと思います。
身体検査を再度受けることになりますし、学科試験のうち難易度が高く時間がかかる1級の問題を70分で解く必要があります(最初から1級を受ければ、2級の問題と1級の問題を合計140分で解くことができますので、2級の問題をさっさと終わらせれば1級の問題にかけられる時間を多く取れるという意味です)
- 身体検査:もう1回受けないといけません。
- 学科試験:1級の14問を70分で受ける。
- 実技試験:なし(1級と2級で全く同じ試験内容のため)
かかるお金
申し込む先の運営会社によってかかるお金が違ってくると思いますが、ヤマハだと下記です(ホームページはこちら)
学科講習がオンラインかリアルか、実技が国家試験か国家試験免除(実技登録教習+修了審査)か、によって日数とお金が変わってきます。
どれを選ぶかは個人の自由ですが、私のおすすめは、学科講習はリアル、実技は国家試験免除(実技登録教習+修了審査。先生からマンツーマンで指導を受けられるパターン)です。要は一番高いやつ。最も手厚いサポートが受けられて、合格率が高くなると思うからです。再受験になったら結局追加で出費になりますので……。リアルだといっしょに受講した人と仲良くなれる可能性もあります。
- 1級:115,500円~141,400円。(所要:2~4日)
- 2級:89,900円~108,900円。(所要:1~3日)
実際の試験内容(体験記)
1. 身体検査
- 視力:健康診断でよく受けるような、「C」みたいな記号を見せられて、「どっちに穴が空いてますか?」というやつです。メガネ・コンタクトありで0.5以上なので、特に問題無いはず。
- 聴力:これは実際には実施されなかったです……という表現は正しくなくて、身体検査や学科試験の説明や、自分を呼ぶ声が聞こえてるか? ということで代替しているらしいです。
- 疾病および身体機能の障害:「病気や障害はありますか?」と聞かれるので答えればOKです。「ある」と答えた場合にどうなるかは不明です。
- 色覚:超鬼門でした。視力検査のような機械を覗いて、暗闇の中に光る小さな電球の色が緑・赤・白いずれかかを答えます。3色x2回ずつの計6回を全問正解する必要があります。私は色弱があるので、1回目はダメで「ちょっと休憩してて下さい」と言われました。やり直しの2回目で何とか全問正解して合格できました。試験のイメージはこちらですが、そのイメージよりももっと白が分かりづらくて色が付いている感じで、緑との違いが非常に分かりづらかったです。
2. 学科試験
2級は50問。
1級は、2級と同じ50問+1級の14問です。
決して難しくはないですが、勉強しなければ確実に落ちます。
合格率は、2級・1級ともに90%程度と言われていますが、1級の方は実際にはもう少し低いように思います。※私といっしょに講習を受けた人は1回落ちました。
2級の50問
難しくないです。例題はヤマハが公開してくれています。ほぼ全ての問題が過去問と同じものなので、過去問を全部解けるようになっておけば全く問題ありません。
1級の14問
1級の14問は、3問が海図問題。その他11問は簡単な計算問題と2級の問題をちょっとだけ難しくしたような暗記問題が出ます。こちらも例題はヤマハが公開してくれています。
海図問題は、三角定規とコンパス・ディバイダで海図に線を引いたり距離を測ったりして、その場での作業が必要となります。とはいえ問題には必ずパターンがあるので、解き方も決まっています。如何に正しく海図を測れるか・線を引けるかが大切です。海図問題は3問出ますが、1問あたり普通に10分程度かかります。線がズレていたりすると選択肢の中に答えが無い(答え自体は4つの中から選ぶ形式です)ということが起きて、最初からやり直してまた10分……ということも起き得ますので、多少速さは犠牲にしても正確性を重視して作業した方が結果的にはかかる時間を最小限にできます。
※実は海図問題も過去問と全く同じ問題が出る可能性が高いので、自信がある人は暗記のアプローチをとってもいいかもしれませんが、普通の人にはおすすめしません。
1級の14問で気を付ける必要があるのは、上記の通り海図問題にかかる作業時間と、14問中10問を正解する必要があるということです。1問あたりの配点が2級の問題に比べると非常に大きいので、海図以外の暗記問題は過去問を確実に全問正解できるように繰り返し解いておきましょう。そうすれば、海図問題3問を全部間違ったとしても合格できるので安心材料になります。
3. 実技試験(実技登録教習と修了審査)
まず、めちゃくちゃ長いです。9時に集合して、全部終了するのは15時ぐらいになります。
内容が盛りだくさんだからです。
海の上、船の上で長時間過ごすことになりますので、夏だと暑さとの戦いになりますし、冬だと寒さとの戦いになります。服装には十分注意して、夏は熱中症対策に水分を多めに用意しておきましょう。日焼け止めや酔い止めも必要なら忘れないようにして下さい。
私は船の操縦センスが全く無かったので、とにかく上手くいかずに緊張しっぱなしでした。(先生も「慣れるまでに時間がかかっているね」とちょっと驚いてましたw)
車と全く違うんですよね。車のハンドルって手を離せば真っ直ぐに戻るんです。船だとそれが無くて、真っ直ぐ進むように自分で舵を微調整しなければならないんです。その感覚が最後まで掴めませんでした。けど何とか合格はできたので、意外と何とかなると考えて良いと思います。聞いた話によると、「よほど酷くなければ合格する」ということでしたし、合格率は95%程度とどこかで見たので、過剰に心配しなくてもいいかなと思います。そもそも初めて船に触れて試験まで終わらせようというのは相当な無茶だと思いますw
私が申し込んだコースだと、先生と1対1でした。コースによっては先生1:生徒複数ということもあるみたいです。当然1対1の方が練習時間を長くとれるという利点があります。ただ1:複数の場合には、「他の生徒がどんなふうに操縦しているか? どんな失敗をしているか?」を観察できるというメリットはあります。
一通り練習した後に修了審査(試験)となりますが、審査のときにはあんなに優しかった(w)先生は何も教えてくれないので、真剣に練習に取り組んでおきましょう。
試験なので点数が付きますが、合否にかかわらず自分が何点だったかは非公開です。(審査中、先生が採点をメモしている様子も無かったです。どういうこっちゃ……)
審査(試験)内容は下記の通りです。国家試験の場合も同じだと思います。
カテゴリ | 内容 | 説明など |
---|---|---|
小型船舶の取扱い | 発航前の点検 | 船体・操縦席、エンジン、法定備品・法定書類から2箇所を点検します。 どれも目で見て手で触って「異常無し!」(まれにちょっとした異常がある場合もある)と言うだけなので難しくないです。どれも学科試験で勉強することなのでここで役に立ちます。 |
機関運転 | エンジン始動・暖機・停止を行います。 始動前にプロペラ(スクリュー)の周囲を確認したり、プライマリポンプで燃料をエンジンへ送ったり、と初めてのことだったので個人的にはちょっと難しかったです。暖機した後に水温や電圧を確認するのを忘れずに。 | |
トラブルシューティング | 先生が船のトラブルの内容を言うので、それに対してどこをどう調べれば良いかをその場で答えます。(実際にトラブルが起きるわけではないです) 下記の2種類が頻出だと思います(むしろそれ以外出るのだろうか……) (1) スターターモーターが回るけどエンジンがかからない → 燃料系統を確認する(燃料タンク、燃料ホース、燃料フィルタ、プライマリポンプ) (2) スターターモーターが回らない → バッテリー系統を確認する(バッテリ液量、バッテリプラグ、バッテリ近くのメインスイッチ) | |
解らん・係留 | 船を桟橋などに係留(ロープで結ぶ)したり、解らん(ロープをほどく)したりします。(両方やります) ロープを結ぶのは「クリート留め」となりますので必ず事前に練習してできるようにしておきましょう。簡単です。 | |
結索 | ロープの結び方7種のうち1種を指定されるので30秒以内に結びます。 実技登録教習の中で教えてもらえるのですが、7種類もその場で覚えるのは難しいので、事前に練習してできるようにしておきましょう。 | |
航海計器の取扱い | 磁気コンパス(ハンドコンパス)で、指示された物標(特定のビルや煙突など)の方位を測定します。 ±5度までのズレは許容されるとのこと。慎重に正確に測れば問題無いはずです。 | |
操縦(共通) | 安全確認 | これ単体は審査項目ではないですが、発進・停止・増速・減速・変針(旋回)のときには全て目視で安全確認する必要があります。 やらないと確実に減点されます。 安全確認していることが試験官に伝わるように、多少大げさな動きと「右よし!」みたいに声に出した方が良いです。 |
操縦(基本) | 発進・直進・停止 | 指示された目標に向かって、指示された速力(スピード。実際には船にはスピード計が存在しないので、エンジンの回転数が目安となります)で直進します。 真っ直ぐに進むのがマジでむずいです……。 |
後進 | 車でいうバックです。 スピードを出す必要が無くゆっくり進んで良いので、これは気楽です。 | |
変針(旋回) | 滑走状態(私の乗った船だとエンジンの回転数3,500以上)のときに、目標を指示されるのでそちらに変針(旋回)します。 滑走状態(つまりスピードの乗った状態)のまま目標を指示されるので、なかなか見つけられずに焦ったりします。間違った目標に進むと減点になることがあるらしいので、周囲の安全を確認しつつも目標をちゃんと確認してその後も見失わないようにしましょう。 | |
蛇行(連続旋回) | 50メートル間隔で直列に設置された3つのブイの間を滑走状態(スピードが乗った状態)で蛇行します。 (ブイの)右→左→右 か 左→右→左 のどちらでもOKです。 個人的には真っ直ぐ進むよりこちらの方が断然簡単でしたし楽しかったです。 | |
操縦(応用) | 人命救助 | 旗の付いたブイを要救助者に見立てて、船を近づけてブイを拾います。手が届けば手で拾い、ちょっと距離があれば棒(ボートフックという)を伸ばして引っかけてもいいです。 これは難しいです。 近づきすぎるとブイと激突しますし、遠すぎるとそもそも手や棒が届かずに救助失敗になります。ブイを見失ったり、後進でブイに進んだりしても救助失敗になります。 一度失敗しても再救助に向かうことが可能です(減点されるでしょうけど)。1回の失敗までなら大丈夫との噂です。この項目が0点でも他の項目ができていれば理論上は合格できるはずなので気を落とさずに。 私は激突まではいかなかったですが、ちょっとブイにぶつかってしまった気がします。 |
避航操船 | 滑走状態のときに、試験官が突然写真を見せてきて、「こんな船がこんな状態で進んできてますがどうしますか?」と言ってきます。(例えば、相手が帆船だったら問答無用でこちらが回避しなければなりません) 学科試験で習った通りの対応ができればOKですので問題無いはず。 | |
離岸 | 桟橋から解らん(ロープをほどく)してから、桟橋から離れる操作です。 スピードを出さずに後進していくだけですので、気をつけるべきは周囲の安全確認のみとなるためこれは簡単です。 | |
着岸 | 離岸とは逆です。 ゆっくりと桟橋に近づき、棒(ボートフック)で船から桟橋を引き寄せられる程度の良い感じの距離で止まることが必要です。 勢い余って船と桟橋がぶつかると減点です。難しいです。私は激突まではいかなかったですがぶつかってしまいました。 |
以上