ITコンサルタントをやってみて


ITコンサルタントとして約2年半従事し、退職した。
退職の理由は色々あるが、今回、明確なメッセージを伝えることは意図せず、つらつらと思うところを書いてみたいと思う。
(日記的な意味も込めて)

バックグラウンド

大学は法学部を卒業。
転職前はSIerでシステムエンジニアとして7年間従事した。
担当していたのは、システム開発(基本設計以降)およびシステム運用、あとちょっとパッケージ開発だった。
仕事はある程度任され(というよりも放置され)、自由に動きながら標準以上の成果を出し、評価もされた。
それは自信になったものの、放置されていたことから仕事のやり方が自己流になってしまい、きちんと上流(要件定義)からのステップを踏んで方法論を身につけることができなかったことは、今でも残念に思っている。

転職理由

人間関係も理由のひとつではあるが、それ以上に大きかったのは、面白みのある仕事を続けることができなくなったことだった。
自分にとっての面白みとは、クライアントからの発注によってプロジェクトが立ち上がり、クライアントとコミュニケーションをとりながらモノを作っていくという、SIerの本分ともいえるところだった。
ところが、最初の2年ほどシステム開発に携わったところで、突然、2年半もの長期間にわたる運用チームへの配置転換を言い渡された。これは本当にいきなりだったし、驚くと同時に、大きく失望した。
とはいえ、運用の現場は実際にやってみると、最初は何をやったら良いのか途方に暮れたものの、クライアントとの距離が近く、システムの不具合対処や改善活動を通じて、クライアントやチームの面々から
徐々に信頼を得、契約の延長をいただいたり、去るときは色々な方から惜しまれたりと、やりがいを見つけることができたのは貴重な経験だった。

そして、運用の現場が終わり、さあSIの現場に戻るぞと思ったところで、言い渡されたのはパッケージ開発の仕事だった。
これは全く意にそぐわない仕事だった。既に企画は決まっていて丸投げされた形だった。仮に自分が企画したとしても、当時はできなかっただろう。素人が企画・開発した製品など、結果は目に見えているのではないか?
それでも、半年という期限があったから、何とかがんばれた。残業時間は、100時間、150時間、200時間と増え、残業代は1円も出ず体調も崩したが、いつかは終わるという希望もあった。
しかし、ようやく終わりが見えてきたと思ったとき、次の半年もその(1本も売れていない製品の)機能改善をやると言われ、もう会社に残るモチベーションは全て消えたのだった。

転職先

何人かのエージェントと話をして、自分の希望するSIer業界は残念ながら求人が少なく、むしろ求人も多くキャリアアップにもなるITコンサルタントを勧められた。
自分としては全く考えていないキャリアだったが、それも面白かろうと思っていくつか受けた会社のうち、グローバルコンサルティングファームの1つが拾ってくれたので、そこへの入社を決めた。

コンサルファームに入社してから

入社してから、一貫してPMO(プロジェクトマネジメント支援)の業務に就く。
PMOというのは、”プロジェクトを成功させるための何でも屋”であり、クライアントにとっては、”何でも頼める便利屋”に近い。
スケジュール管理、TODO管理、クライアントの上司への説明資料作成、部門間調整用の資料作成、打ち合わせの設定、打ち合わせ中のファシリテーション・議事録……など、何でもやらなければならない。
つまり泥臭い仕事であり、入社前に持っていたコンサルのイメージとはかけ離れていた。もっと、戦略立案とか、予算策定とか、業務プロセス改善とか……要するに『かっこいいこと(笑)』をやるものと思っていたからだった。
もちろん、コンサルはそういった仕事もするのだが、自分がいたファームでは割合としてはかなり少なかった。理由は、期間が短くなりやすい(=フィーが低くなりやすい)ということと、そうしたことを専門としている、いわゆる戦略系ファームにはコンペで勝てないからだ。余談ではあるが、最近は戦略系ファームでもかなりフィーを落として価格競争に突っ込んできたりもする……。また、自分がいたファーム以外でも、IT関連のプロジェクトといえばPMOが主である。

PMOの仕事を始めてから、精神的な負担はかなり大きかった。理由は、
 (1) 成果物の品質は信じられないほど高いものを求められる。クライアントからの要求が非常に高い。
 (2) それなのに納期は信じられないほど短い。クライアントからの納期指定があってもなくても、上司からは1日以内の作成およびレビュー依頼を求められることが多い。
 (3) 作業のスコープが実質的に無い。何でも屋。
 (4) クライアントの期待を超えなければならない。

限界

そんなこんなで2年間ほど仕事をして、それなりに仕事の仕方も分かってきて、資料も作れるようになってきて、プロモーション(=昇進)も果たして給料も少しは良くなった。
ところが、最後に携わったプロジェクトが悲惨だった。
 ・業務量がとてつもない。10個のプロジェクトが同時に走っている状態で、プロジェクト管理と、方針策定と……そして、クライアントが抱えているプロジェクト以外の定常業務の課題解決を全て1人で担当しなければならない。スコープもなく、管理対象のプロジェクトが増える可能性は否定できない。はっきり言って1人では無理。
 ・突然の入院(急性扁桃炎)を、「体調管理がなってない、多くの人に迷惑をかけた」とバッサリ。普通に寝て朝起きたら、突然喉が死ぬほど痛く、防ぎようも無かった。
 ・体調管理のため残業はするな、と命令が下るが、もちろん業務量は減らない。にっちもさっちもいかず、詰み状態。助けは無い。

ITコンサルタントに向いている人

 ・仕事が早い
 ・柔軟な思考をもつ
 ・何らかの専門分野をもつ
 ・強靱な肉体と精神をもつ
 ・泥臭い仕事も平気さ

給料・残業代

自分の所属した大手グローバルコンサルティングファームの話。
クライアントからいただくフィーは大手SIerの2倍ほどを想定してもらえれば良いが、給料はあまり変わらない。
残業代は出なかった。

以上


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